SOLD OUT
c.1950 Czechoslovakia / Vine Edge Band Ring / Silver 900
1950年代頃のチェコスロバキアで制作された、幅広のシルバーバンドリング。
中央は装飾を排したプレーンな造形とし、エッジ部分にのみ金メッキによる繊細な意匠が施された一本です。
リング全体は低重心で安定感のあるフォルム。
指に通した際には、幅のあるバンドが面で触れるような感覚があり、過度な主張はないものの、手元にしっかりとした存在感を与えてくれます。
装飾を控えた構成だからこそ、形そのもののバランスや仕事の丁寧さが際立っています。
縁に沿って施された金メッキ部分には、細く連なる植物の蔦文様が刻まれています。
蔦は成長や連続性を象徴するモチーフとして、ヨーロッパの装飾史の中で長く用いられてきましたが、本作ではそれを全面に押し出すことなく、あくまで輪郭に沿って静かに配置。
中央の無言さと、縁に残された有機的な装飾との対比が、奥行きのある表情を生み出しています。
このように、装飾を抑えながらも完全にそぎ落とすことはせず、造形としての美しさを丁寧に整えていく姿勢は、チェコの工芸に特徴的な感覚と言えるでしょう。
装飾を主張させるのではなく、必要な部分にだけ意匠を残す、その抑制の効いた作りが、この小さなリングの中にもはっきりと表れています。
素材にはSilver 900を使用。
スターリングシルバー(925)よりもわずかに落ち着いた色調を持ち、白く強く輝くというよりも、やわらかく穏やかな光を放つのが特徴です。
エッジの金メッキと相まって、派手さではなく、時間を経た質感の美しさが印象に残ります。
ホールマークには「900」の品位刻印に加え、当時のチェコスロバキアで用いられていた山羊の頭の検定刻印が確認できます。
国家の基準を満たした正規品であることを示すもので、作家名やブランドを前に出すのではなく、素材と仕事の確かさそのものに価値を置いていた時代背景がうかがえます。
派手さで語るのではなく、形と仕事の確かさで伝わる一本。
チェコ工芸の魅力を、指輪という小さなジュエリーに静かに落とし込んだ、1950年代のヴィンテージリングです。
• 年代:1949-62
• 製造国:Czechoslovakia
• 素材:Silver 900(エッジ部 金メッキ)
• 号数:16号
• コンディション:経年による細かな擦れ・金メッキの摩耗あり(構造上の問題はありません)
※当店で扱うアンティーク・ヴィンテージ品は、いずれも経年による小傷やくすみなどが見られます。それらは歴史を経た品の特性としてご理解の程よろしくお願いします。