厚みのあるリンクが連なり、直線と構築のリズムを描くブレスレット。
その造形は、カルティエのタンクウォッチを思わせる、アール・デコ的な印象を持ちます。
モダンとアール・デコが交わるデザインで、戦車やトラックのキャタピラを思わせる力強いリズムが刻まれています。時計の要素を切り離し、ジュエリーとして独立させたような印象を与える一本です。
タンクウォッチが第一次大戦の戦車をモチーフに誕生したように、このブレスレットもまた「機械的構造を造形美へと転化する」という思想を体現しています。直線的なリンクが整然と並ぶ姿は、キャタピラの連続性を抽象化したものであり、アール・デコの幾何学性とモダンデザインの合理性が交差しています。単なる装飾を超え、構造そのものを美とする姿勢は、まさに20世紀前半のデザイン革新を映すものです。
素材はシルバー900。スターリングシルバーより純度を抑えたこの規格は、戦時下の銀規制を背景とするものと考えられます。さらにリンクは中空(ホロウ)構造で作られており、外見の重厚さに反して驚くほど軽やか。これは当時の制約下にありながらも、デザインを犠牲にせずに成立させた技術的工夫であり、結果として「外見の力強さ」と「実際の軽快さ」という、二重の魅力を兼ね備えることになりました。
デンマークは20世紀を代表するシルバージュエリーの産地であり、数多くの工房が機能美と造形美を融合させた作品を生み出しました。このブレスレットもまたその潮流の中にあり、抑制の効いた北欧デザインの美意識を体現しています。
ジャケットやシャツに合わせれば凛とした存在感を、カジュアルな装いには抑制された輝きを添える一本。アール・デコの構築性とモダンの軽やかさが共存するデザインは、今もなお新鮮に映ります。
• 推定年代:1930-1940年代頃
• 製造国:デンマーク
• 素材:Silver 900(ホロウ構造)
• サイズ:全長 19.5cm/内周 約18.5cm/幅 1.5cm
• 重量:約25g
• コンディション:経年による小傷は見られますが、使用に支障のない良好な状態
※当店で扱うアンティーク・ヴィンテージ品は、いずれも経年による小傷やくすみなどが見られます。それらは歴史を経た品の特性としてご理解の程よろしくお願いします。
その他のアイテム
-
- c.1950 France / Rope-edged Link Bracelet / Silver 800
- ¥94,000
-
- c.1890–1910 France Ferronnerie Bracelet / Silver 800 & Vermeil
- ¥55,000
-
- c.1960 Germany Curb Chain Bracelet / Silver 835
- ¥12,000
-
- c.1950 Germany Braided Fox Tail Bracelet / Silver 835
- ¥38,000
-
- c.1930 Czechoslovakia Embossed リンク ブレスレット / Silver 900
- ¥69,000
-
- c.1940 Finland / Wrist Compass G-72 / Suunto
- ¥19,000