SOLD OUT
c.1930 Czechoslovakia / Initial Ring / Silver 800 Onyx
1930年代頃、チェコスロバキアで製造されたシグネットリング。
内側には「800」の刻印が確認でき、当時のシルバー規格に基づく個体です。なおホールマークはリサイズや摩耗により消失しているものと考えられます。
トップにはフラットに研磨されたブラックオニキスが据えられ、その上にイニシャルが立体的に配された構成。
彫り込むインタリオとは異なり、要素を乗せることで形を成立させるアプライドの手法が用いられています。
このような構成のリングは、ヴィクトリア期イギリスのモーニングジュエリーに由来するものと考えられますが、本個体ではゴールドではなくシルバー素材が用いられている点や、ショルダーに見られるチェコ的な装飾性によって、追悼的な意味合いから離れ、日常のジュエリーとして再構築された印象を受けます。
黒の面に対して銀のイニシャルが浮かび上がるように設計されており、単なる装飾ではなく、平面と立体の対比によって視覚的な構造を作り出しています。
この「面と構築」の関係性は、1930年代前後のアール・デコ、あるいはチェコキュビズムに通じる造形感覚を感じさせます。
また、トップの構成が幾何的で理性的であるのに対し、ショルダー部分にはボヘミア地方のフォークロアを思わせる装飾が施されています。
曲線的で反復的な彫りは手仕事のニュアンスを残し、直線的なトップとの対比によって、このリングに独特の奥行きを与えています。
イニシャルの書体は、イギリスのような伝統的で端正なものとも、アメリカのように装飾性を強く打ち出したものとも異なり、その中間に位置するようなバランスを持っているように思います。
構築的な面構成と、装飾的なフォークロア。
相反する要素が一つの造形の中に同居している点に、チェコスロバキアらしい美意識が表れています。
黒と銀のコントラストが際立つため、スタイリングにおいても自然と視線を集める存在感がありますが、過度に主張しすぎることはなく、装いに静かな強さを与えてくれるリングです。
推定年代:1929–41年
製造国:チェコスロバキア
素材:Silver 800 / オニキス
サイズ:17号
重量:約3.8g
トップ:縦15mm × 横14mm
コンディション:経年による小傷・くすみが見られます。なおホールマークはリサイズや摩耗により消失しているものと考えられます。
※当店で扱うアンティーク・ヴィンテージ品は、いずれも経年による小傷やくすみなどが見られます。それらは歴史を経た品の特性としてご理解の程よろしくお願いします。