SOLD OUT
c.1960 France / Modernism ID Bracelet / Silver 800
中央にプレートを備えた、1960年代前後のフランス製シルバーブレスレット。
装飾を抑えた端正な構成と、実用品としての合理性が際立つ一本です。
チェーンやクラスプの設計には、同時代のドイツ工業デザインやバウハウス以降のモダニズムにも通じる機能美が見られます。中折れ式クラスプを採用し、片手での着脱がしやすい構造は、日常使用を前提とした道具としての完成度を感じさせます。
1960年代前後のフランスにおけるシルバー工芸は、装飾・実用・工業化が同時に成立し、それぞれが拮抗するかたちで成熟していった稀有な時代でした。
デザインは一つの様式へと収束することなく、合理性と優美さ、重量感と抑制、工業的な構造と人の手の感覚が自然に併存しています。
本作もまた、ドイツ的な機能美を思わせる合理的な構造を備えながら、直線に寄り切らない曲線の余白を残しています。
そこには、近代化を受け入れつつも感覚の部分を切り捨てることなく、造形としての均衡を獲得していったフレンチデザイン、フレンチモダニズムの成熟を感じます。
IDブレスレットをデザイン元にしており、ミリタリーを起源とする識別用の道具として生まれた形式ですが、それを単なる機能として留めず、造形として再解釈するアプローチが取られています。
本作もまた、名入れを前提としながら、無記名の状態でも完結するプロポーションとバランスを備えており、用途を越えて成立するフランスシルバーらしい感覚が感じられます。
素材はSilver 800。
クラスプ内側には、フランスの銀製品に用いられた蟹刻印(crabe)と、工房を示す菱形刻印が確認できます。
蟹刻印は1970年代初頭まで使用されていたもので、本作は1960年代を中心とした時代に制作された個体と推測されます。
機能を突き詰めながらも、冷たさに傾かない造形。
フランスのシルバー工芸が成熟した時代の空気を、そのまま手元に残した一本かと思います。
プレートとチェーンの比率が良く、約47gのしっかりとした重量感がありながら、主張しすぎない佇まいが特徴です。
• 推定年代:1960年代
• 製造国:フランス
• 素材:Silver 800
• 全長:約19cm
• 内周:約17cm
• 重量:約47.4g
• クラスプ:中折れ式
• コンディション:経年による小傷あり(使用に支障のない良好な状態)
※当店で扱うアンティーク・ヴィンテージ品は、いずれも経年による小傷やくすみなどが見られます。それらは歴史を経た品の特性としてご理解の程よろしくお願いします。
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