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c.1950–70 France / Filigree Signet Ring “Colonial Gothic” / Silver 800
フランスのシグネットリングをベースに、アフリカの感性が重ねられた一本です。
厚みのある銀無垢のベースに、繊細なフィリグリー装飾が立体的に組み合わされ、
線が重なり合うようにして構成されています。
その流れるような線は、ヨーロッパ的な幾何学の秩序というより、
アフリカの工芸に見られる即興的なリズムを感じさせます。
表面には黒化が残り、磨かれた部分とのコントラストが強く出ています。
陰影の深さが立体造形を際立たせ、手仕事ならではの厚みと存在感を生み出しています。
構築的でありながら、装飾的でもあるデザインは、
ヨーロッパの伝統とアフリカの伝統が融合したデザインです。
立ち上がりのある中央部には、アラベスク状の線が交差し、
その周囲を取り巻く渦巻文様が柔らかい動きを生み出しています。
整った左右対称の構成の中に、わずかな揺らぎや非対称の要素があり、
それが工芸としての温度を感じさせます。
シグネットリングはもともと身分や家紋を象徴するために作られた形式ですが、
この作品では象徴よりも造形そのものが主題になっています。
ヨーロッパの理性的な造形に、アフリカ的な感性が自然に溶け込み、
異なる文化のあいだにある美しい均衡を感じさせます。
経年によってやや見えにくいですが、フランス・パリを示す猪のホールマーク(tête de sanglier)も確認できます。
1950〜70年代のフランスでは、植民地から帰還した職人や移民によって、
多様な装飾技法が融合し、新しい意匠が数多く生まれました。
このリングもその流れにあるものと考えられます。
トップにわずかなダメージがありますが、構造に影響はなく、着用には支障ありません。
形式と自由、構築と装飾。その境界をなめらかに行き来するような造形です。
・推定年代:1950〜70年代
・製造国:フランス(パリ)
・素材:Silver 800(猪のホールマーク刻印あり)
・サイズ:23号
・コンディション:トップ右上にダメージあり(着用に支障なし)写真3枚目にてご確認ください。
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